16 その後もしばしば俺は子供達と留守番をして過ごしたり、簡単な任務に駆り出されたりしながら数週間程を過ごしたのだった。 その間、子供の俺は上昇志向の為か俺に忍術やら修行をつけろと時間を見つけては俺に構ってきた。 俺に師事とまではいかないが教えを請うことにしたのか、それとも自分が俺に構えば俺がイルカに近づく事が無いと学習したのかそれは本人にしか分からないがかなり頻繁に傍から見れば因縁を付けに来ているように教えを請いに来ていた。 そんな子供の頃の自分の行動を客観的に見れば微笑ましいと言えば微笑ましいのだが、コレを自分がしていたのかと思うと何とも言えず複雑な気持ちだった。 そしてその酒宴の日を境に、俺は昼間は子供達に纏わりつかれ、夜になると酒もいけるのだからと毎晩のように誰かの晩酌に付き合わされることとなった。 彼らにも思う所はあるのか特に父は何を話すわけでもなく俺と酒を酌み交わしてソレを噛みしめる見たいに飲んでいるようだった。 普通ココは逆で俺が父を惜しんでこんなチャンスと酒を噛みしめるように飲むんじゃないのか?と思わずにはいられないのだけれど・・・うっかり父の本性を知ってしまった俺としてはとてもじゃないけど父と噛みしめるように酒を飲む事は出来そうになかった。 たぶんそんな事をしながらのめば苦笑が絶えず滲み漏れるか、沸々と湧きあがる笑いを堪えながらの晩酌になるのは間違いないとそう確信していた。 そんな日々を過ごして一週間ほどが過ぎた頃俺は本当に自分のいた時間に帰れるのか心配になり、またいきなりこの時代から放り出されるかもしれないと言う可能性を見出してしまい、もしもの時の為にカルパに色々と託すこととした。 その為に俺はカルパに頼んでいつぞやの夢の中での逢瀬を頼んだ。 カルパも色々と俺と話をしたかったらしくその事には快く承諾してくれた。 その夜から、夢の中で俺はカルパと一杯話した。 自分の事 俺が生きている時代の事 どうしてココにいるのかとか色々と それらの事を理解したカルパは結局俺の事を『主』とか『クロ』とかで呼ぶ事にしたらしい。 呼び方は、その時のカルパの気持ち次第らしい。 そしてそれが終わると、毎夜、毎夜俺達は今度は今日感じた事を話しあいだした。 その話しあいで帰り方は分からないが、それでも時空の歪の揺らぎとかをカルパから聞く事ができ、俺はとってもありがたかった。 『明日は、ちょっと不安定だ』 とかそんな感じで、一度だけ火影様立ち会いの元、時空の歪の揺らぎがある時、つまりカルパが不安定だと言った日に写輪眼を使用してみたらものの数分で簡単に暴走してしまった。 火影様が貼った結界があったから大事には至らなかったが危険極まりない事が判明し、よってそんな日は最悪な事態でない限り極力力を使わない事、とおたっしを受けてしまった。 そしてとうとう、長期間にわたり父とシンさんとマナさんのスリーマンセルで任務にあたる日がやって来たのだった。 3人が任務についている間、子供のカカシは、下忍の任務になるべくつかなくていいようにはかられていた。 3日に1回くらいの割合で任務に就くカカシをイルカと劫と俺で見送って、気が向いた時だけカカシを迎えに行ったりして過ごしていた。 それに伴い。カカシが任務のない日には俺達は朝から森に出かけてそこで時間を過ごすようになった。 其のさい結界を貼り俺はその結界の境目から500mぐらいまでカバーして神経を研ぎ澄ませて、些細な変化にも気をつけて過ごしていた。 そして森に遊びに行くたびに必ず1回は2人の子供を狙った輩がやってきていた。 それは単独だったり、複数だったり、その時々で違ってはいたが、俺の知覚範囲内に入って、真直ぐにこちらに向かって来た輩は結界前で問答無用に排除していた。 その死体は火遁にて始末していたし、また俺の気が向いた時のみ、やって来た輩の目的を聞いてみたりもした。 どうやら、目的はどいつもこいつも2人の子供だった。 そして護衛者が、父やシンさんやマナさんじゃない事に油断したのか嬉々としてやってきている様だった。 しかしことごとく俺が撃退してしまっている事が知れて来ているのか、最近では腕の立つモノがやって来たり、さらに大人数でやって来る輩もいった。 今の所イルカにはばれていないようだが、どうやらカカシにはばれている様だった。 俺が闘っている所を見た事が無いのだからしょうがないし、俺は最新の注意を払って返り血は浴びないようにしていたので、彼は余りにも俺がのほほんとして木の根もとで何かしらの本を読んでいるのをとても心配している様だった。 それでも、俺がその木の根元から ふらっと いなくなり、また ふらっと 戻って来るとイルカと劫と一緒にやってきて 「怪我しなかった?」 とイルカに聞こえないように俺に聞いてくるようになっていた。 俺はソイツの質問に気付かなかった振りをして 「どうした? 遊び疲れたか? 家に帰るか?」 と明後日な事を聞き返していたのだった。一応俺も大人だから気付いていないイルカに心配をさせないようにとの配慮からだった。 そう聞くとイルカは「クオちゃーも、いしょにあそぼぅ」と声をかけて来る。 それが俺とカカシとの儀式のように交わされる確認の言葉となった。 それとも、イルカも何かを感じているからこそ俺にそう声をかけているのかもしれないのだった。 そして俺は気が向くと忍術を使ってイルカ戯れていた。 また、森は広かったので子供の自分に請われて基本的な忍術を教えたり、組み手に付き合ってみたりもしたのだった。 そして俺は教えた忍術を応用して使ってみろと宿題じみたことを彼に課して見たりもしたのだった。 前の鍛錬の時も結局は自分でちゃんと答えを見つけ出してその鍛錬のありがたさが分かったのか、それ以降一日たりとも怠ることなくこなしているようだった。 だから、こうやってヒント見たいなことを教えてやれば後は自分で考えて創意工夫をして来るだろうっと・・・。 そして俺の役目はその工夫してきた結果を見てその術を評価してやることだけだった。 とりあえず俺は、子供の自分に、水遁、火遁、風遁、雷遁、土遁の全ての初期忍術を教えた。 そしてイルカには、以前教えた水遁の術の正式名称を忘れずに教えておいた。 まぁ〜別に自分の好きな名をつけてしまっても良いのだけれど・・・ 一般的な忍術は誰もが知っている名が横行しているので恥をかかないようにとの考慮からだった。 イルカは初めて忍術の名称を聞いた時、術を発動させるたびにその名を口に載せて発動させていたのだが、子供の頃の俺に何かを言われてからは何も言わなくなった。 そろそろ俺がそれを注意しようかと思っていたがどうやら前からそれが気になっていたらしい、子供の俺が先に手を打ったらしい。 そうやって、俺達は日々を過ごしていたのだった。 一応俺の貼った結界は外から入って来るのは難しいのだが、中から出て行くのは至って簡単だったりするのだった。 寄って、子供達は俺が結界を貼っているのにどうやら気付かないでいるらしかった。 一応俺も結界の事は示唆していなくて、何時も余り遠くまで行くなよ〜 っとそんな注意だけしかしていなかった。 子供の俺には前もって、俺のいる所から半径500mは自由にしていて良いからな。 って言い含めた事があるのでその範囲内は俺が感知しているモノと思っているようだった。 ちょうど結界の大きさをそのくらいにしてあるのだった。 俺の作った結界はさっきも言ったが特殊で、外からの侵入者に対しては強固だが、内側から出て行くモノに対してはとても無防備だった。 よって、イルカやカカシ達が結界の外へ出ることは何の抵抗もなく出れるのだが外からやって来ると結界に阻まれて中に入る事が出来なくなるのだった。 どっちかを強固にすればどっちかがもろくなる そんな結界だったのだ。 広範囲をカバーするとなると独りではたかが知れているのだった。 それでもこんな芸当が出来るものは木ノ葉といえども一握りのモノにしかできない事だった。 最初の頃俺は森の中で過ごす間、子供達とカルパだけで遊んでいる様子をこっそりと盗み見ていた。 このころ以前の記憶が曖昧というよりも思い出そうとすると全くないことに最近気がついたのだった。 そんな訳で俺は丁度良いとばかりにこの時代の自分の様子と子供のイルカとどういう風に過ごしていたのかを第三者の目という観点から記憶していくことにした。 その様子は微笑ましい・・・。 というよりもとっても羞恥を覚える感覚だった。 本当に子供の頃の自分は今とさほど変わりもなくイルカ中心で動いていた。 イルカが笑えば俺も心から笑っていた。 普段はどちらかといえば、周りを気遣って表面上だけ笑っているようだった。 さらに言えばいっちょ前に嫉妬もしていた。 イルカがあまりにも劫を構うと何とかイルカの視線を自分に向けようと色々とやっていた。 最近では劫は別にいいようで、俺がイルカの視線を独占しなければ子供の俺は表面上はどうであれ内面は凪いでいるようだった。 相も変わらず口数は少ないほうだが、イルカとはよく話しているようだった。 さすがに内緒話じみていたので聞き耳を立ててまで聞くような無粋なことはしなかったけど・・・。 子供の自分とは言え、今に記憶がないことにかなり妬けた。 いつかどんな話をしたのか思い出せるといいのだけれど。 |