2 俺は父さんと別れて闇の虚空を遥か彼方に見える光を目指して歩いた。 父さんとはたくさん話した。 すべて話し終えると父さんは、「お前はあの光を目指せ」と遥か彼方にポツンと小さく輝く光を指した 俺は父さんのその動作につられてその人が指し示した光に視線を向けた その後父さんに視線を戻して「一緒に行こう」と声をかけようとしたら、そこには誰もいなかった。 俺は慌てて父さんを捜した。 急に心細くなった 俺はまるで親を求める幼子になってしまったかのようだった 途方に暮れた俺はふと父さんが指差した光へと体を向けた すると誰かにそっと背を押されるよな感じがした 押された時に(お前はあそこに大切なモノを置いてきてしまった。だから今は帰りなさい。次に来る時は、全てをもっておいで…… カカシ…俺は俺なりにお前をちゃんと愛していたよ。だから、今はサヨナラだ。さっ、行きなさい)そんな父さんの声が聞こえてきた気がした 俺は嬉しくて、でも少しだけ哀しくて、静かに涙を零しながらその歩みを光へと向けた。 結局父さんは俺を連れてってはくれなかった。 ********** 光を目指して俺はひたすら歩いた 父さんが俺を導いてくれた光の元へ 光に近づくにつれて俺はだんだんと父さんが言っていた置いてきたモノを思い出していた それは心とか、思いとか、愛するとか そんなモノだった 俺はそんなモノ全てを未練として、あの光の向こうに置いてきてしまったようだった 光が近くなればなるほど俺はイルカのコトを考えるようになった 好きで、好きで、好きすぎて 愛が溢れんばかりに心を満たして イルカがいないと生きていけないほど依存してて イルカも俺がいないと生きていけないのに 俺はイルカのことをすっかり忘れてしまって、先に行こうとしていた (イルカ……ごめんね。忘れてしまって…) そう思ったらこんなところでグズグズなんてしてられないとばかりに俺は走ってその光を目指した いつもの俺なら用心深く、安全がある程度確保できなければこんなにあやしい所はくぐり抜けようとは思わないが 一分一秒でも惜しかった俺は迷うことなくその光に飛び込んだ 父さんがあの光へと言っていたことも少しは影響していたと思う その光を潜り抜けると、そこにも闇が鎮座していた その空間はさっきまでの暗闇の空間とは違うようだった。 そこには映画館にあるスクリーンのようなモノがあった そのスクリーンのようなモノには、イルカが写っていた その光に照らされてこの空間の真ん中あたりに人らしきモノがいるようだった その人らしきモノはスクリーンのイルカを目を皿のようにして、食い入るように見ていた (いつの間にイチャパラムービーが上映されたんだ? しかも、イルカが主演なんて…… おいしすぎる!! ……って言うかイルカのあんな姿や、こんな姿を見て良いのは俺だけだー!!) かなり我を忘れて暴走した思考を修正し、上忍としての能力をフル稼働させて必要な情報を手に入れるよう努めた。 この空間には、俺と目の前にいるヤツ、そして、イルカの淫猥な行為を映すスクリーン。 しかし、どんなに頑張ってもついついスクリーンに目がいってしまいとても情報を集めるどころではなかった。 (あぁ、もう。何なのまったく。イルカのあんな姿を見せられちゃ集中出来ないよ。しっかし、よくよく見るとなぜか俺目線なんだよねぇ) 苦笑していたら、スクリーンの中にイルカに触れる見慣れた手が見えた。 その手には、俺の愛用の手甲が…… (って、相手俺じゃん!! それにしてはイルカがえらい嫌がっているような……) 俺はスクリーンの映像を食い入るように見つめた。 どんなに自分の記憶を浚っても全く覚えがない ふとした瞬間、もしかしなくてもあの映像は今現実におきていることなのでは。と思えてきた 俺はまだここにいて、体に戻ったとは言い難い。 なら、もしこの空間が俺の体なら、きっとあそこにいるヤツが今この体を動かしている張本人なんだろうと予想した。 あぁ。客観的に見ればこんな風に見えるのかなと思った (って、悠長に構えている暇はないんだ〜よねぇ) どう贔屓目に見てもイルカがとってもピンチなのはかわりようがなかった。 さっさとけりをつけるために俺は行動をおこすことにした。 俺は体を取り戻すに辺り、(とりあえず今現在そこで居座っているヤツから体を取り戻さなければならないけど)今ここでコイツを取り逃がすと後々厄介なことになりそうなので、消滅させるにしても、取り込むにしても、慎重にヤツの周りを固めて逃げ切れないようにすることにした。 ただ俺は、イルカを今すぐ助け出せないことにひた謝りしながら、作業にとりかかった。 イルカの痴態を凝視し、その宴に全てを向けているソイツを見据えて、伽に関係ない所から取り戻しにかかった。 運動神経、聴覚、視覚、触覚、味覚 それ以外を全て取り戻すことにした。 スクリーンの中のイルカを見守りながら、どうか間に合ってと思いながら主導権を取り戻していく。 ソイツが、イルカに口淫を施してイルカをイかせた瞬間(ソレを味わって良いのは俺だけだ!!)とどす黒い何かがわいてきていて、気づいたときには、味覚の主導権を取り戻していた。 結局最終的には、運動神経、聴覚、視覚、触覚を残して全てを取り戻していた。 これからはさらに慎重にやらなければ、一歩間違えればイルカにまで危険が及ぶおそれがあった。 そこで俺はヤツを封じる意味で残りは同時進行で行って取り戻すことにした。 やはりもとは自分の体、ここは俺の領域。思っていた以上にスムーズに主導権を取り戻せている。 しかし、そんな俺をあざ笑うようにイルカの悲痛な叫びが聞こえてきた。 「嫌だ。カカシさん、助けて。助けてカカシさん。カカシさーん」 そんなイルカの声を聞いてしまった俺は…… 頭に血が上り、気がつくとイルカの声に応えるように 俺は力の限りでソイツから主導権を奪い返していた。 気付くと、俺はイルカを目の前にしていた。 俺は大至急己の欲望を理性の力で抑え込、性欲コントロールをフル稼働で行い自らの高ぶりをなかったことにした。 そして、泣き叫んで錯乱しているイルカの手を自由にして、イルカが落ち着くようにぎゅうっと抱きしめた。 「良かった。間に合った、もう無理かと… 間に合わないかと思いましたよ」 俺は安堵の息を吐いた。 そしてイルカを労わるように、顔中に触れるだけのキスをちゅっ、ちゅっ とおとした。 しばらくすると落ち着いたイルカが俺の両頬に手を添えて覗き込んできた。 そして何かを確かめるとイルカは犯罪的な笑顔を俺に向けて 「本当だ。カカシさんだ、おかえりなさい」 といった。その笑みは俺の下半身を直撃した。 頑張って性欲コントロールした俺の苦労をすべて台無しにしようとしていた。 (可愛いすぎでショ これは…。俺を煽って 欲望のままに襲われたいのかねー。 この人は) なんて思いながら俺は理性を総動員して、あくまで紳士的にイルカに接する努力をした イルカの上半身には、この体が付けたと思われる、噛み傷、強すぎて痣になったキスマークが至る所についていて俺はそれを少しでも隠そうと自分のジャケットをイルカの肩にかけた。 俺はイルカに今の俺がいかに危険かを聡、イルカから少し離れた所に移動した。 俺の話を理解しているのかしてないのかイルカは顔を少し赤らめて離れた俺との距離に哀愁漂う顔をした。 次の瞬間、イルカはなにかを吹っ切るように色々と聞いてきていたけど俺はそれどころではなかった。 ********** たっく。アイツ上忍以上の実力の持ち主じゃなかったの どうして、俺の体ごとき制御できないのかね 全く実力を疑っちゃうよ 俺の体乗っ取るんだったらちゃんと制御しておいて欲しいよ おかげでイルカがひどい目にあってるし もう災厄!! しかも、ちょ〜と本気を出したら消滅しちゃったみたいだし ……あっ、いや? 消えてないか? 入ると言えば入るような? さっきより全然いわかんないよねぇ〜 もしかしなくても、俺食べちゃったの〜 それはイヤだなぁ アイツに個体としての意識があったら俺が寝ている間にまた、主導権奪われちゃうのかねぇ なんかそれとも違うような〜? あぁ、もぅ。ウダウダ考えるのはヤメヤメ 解んないことうじうじと考えたって仕方がない!! どうせなるようになるでしょう しかし、さっきのイルカの痴態俺が味わいたかったなぁ それに、婀娜っぽい顔がまたそそるんだよねぇ 出来ることなら今すぐにイルカにむしゃぶりついて、手酷く犯したいよなぁ(笑) ……。 ********** 「それは、凄いですね」 そんなイルカの言葉で俺は現実に戻ってきた。 (やば、全然聞いてなかった… えーい、適当に答えとけ) 「うーん。それはどうでしょう?」 そういうとイルカはとても不思議そうに俺を見つめてきた。 (もーダメ。我慢の限界サッサと終わらせる。すぐ終わらせる。今すぐに終わらせる。必ず終わらせる) そう心の中で唱えながら俺は、ふぅ。とため息をつき 「ちゃっちゃっと終わらせますか」 そう言って俺はアイツの力を使うべく瞳にチャクラを集めた。 ********** 里の方に力のおよぶ体が数体あるようだったので俺は里の方を見やり本格的に動き始めた。 火影様のそばに1体入るようなので、火影への報告はそいつに任せることにした。 アイツの記憶からえた情報から他の暁も来ているようなので残りの体でそっちの掃討をすることにした。 アイツとペアを組んで来ているようだった。 掃討の方は敵を始末するだけ、つまりはいつもの事。問題は火影様の方だ。 何せ、目の前にいる敵が、入れ替わった味方(はたけ カカシ)だとわからせなければならないのだから… そいつも掃討に回して俺が直接赴けばよいことなのだが、俺は今イルカの側を離れたくなかったので面倒だけれどしょうがないと諦めた。 ので、是が非でも火影様には信じてもらわなければならないのだ。 ********** 既にアイツが敵として挨拶をしてしまっていた。 それから両者は一歩も動けない緊迫したピリピリした空気があたりを包んでいた。 ちょっとした刺激で両者共に襲いかかれる状態、まさに一触即発!!状態だった。 緊張感ただよう雰囲気を壊さないように心がけながら声をかけることにした。 『あのですねぇ〜 火影様』 いきなり砕けたように話しかけたのがいけなかったのか、それとも良かったのかわからないが、そこにいたモノ達は火影も例外なく皆一様に大げさと思われるほど大仰に体をビクつかせた。 皆の反応に内心ドキドキだったがそこは上忍な俺は素知らぬ顔でやり過ごした。しかし、皆から見えない背中を嫌な汗が流れ落ちるのを否応がなしに感じていた 数秒後、もしくは一瞬後だったのかも知れないがとてつも長い沈黙の後[のち]綱手姫の口からとてつも長い、それでいて呆れ混じりの溜め息がこぼれ落ちた。 綱手姫の溜め息1つでさっきまであった緊張感はものの見事に霧散していた。 「カカシ。詳しい経緯を説明しろ!! ……と言いたいところだが、時間がない。簡単にすませろ!!」 「え!! そんなに簡単に信じちゃって良いんですか?」 「良いも、悪いもあるか!! あんなふざけた口調であたしに話しかけるバカはお前しかいないんだよ」 さも当たり前とばかりに言われてしまい身も蓋も無かったが、その目が(さっさとおし)と語っていたので、俺は肩肘はるのもバカバカしいとばかりに肩を落として簡単な事の経緯を話した。 曰く、俺の体に入ったペインの本体を俺が反対に取り込んだと。更にはその能力を活用して残りの暁を掃討するから仲間には攻撃しないように連絡して欲しいと…… 3へ 1へ NOVELへ |