side イルカ ある日突然、世界は音をたてて崩れ落ちた。 それでも明日はやってきた。 全てが無意味で、 全てがあって無いものだった。 世界が崩れ落ちどのくらい経っただろう。 1日、2日……、それとも数ヶ月、数年。 それは、一瞬であり永遠でもある時。 もう、いないと、頭では分かっているのに、心がそれを拒絶する。 ふとした瞬間、あなたを探してしまう。 校門の前、あの曲がり角、家の中…… 期待の分だけ、心がひしゃげる。 あるいは、泣けたのならば俺はもっと違う明日を歩んだのだろうか。 あるいは、泣けたのならば俺はあなたを忘れて笑うことができたのだろうか。 いくら考えてみてもさっぱり分からない。 ただ、毎日、毎日。あなたのいない現実を突きつけられるだけ。 唯一、心が安らぐときは、恋い焦がれるままに夢見る時間(とき)だけ あなたがいた幸せな時間(とき)を夢見ながら俺は明日なんか来なければいいのにとひたすらに思う はかない安らぎは朝の光の中に霧散する幻 そして俺は安らぎから目覚めて、苦い涙を一滴(ひとしずく)零す。 色のない世界 味のない世界 意味をなさない世界 ただ目の前に広がる虚無の世界 「怖い……、お願い誰か。助けて俺を」 「ここから、出して」 「・・・さん。どうして」 「 う そ つ き 」 ぐるぐるとまわる思考 ぐるぐるまわる思い そこに取り残された 果たされなかった約束 なぜ。俺は今ここにいるんだろう・・・ そして俺は夢に逃げる。 布団にくるまり 小さく、小さく 膝を抱え できる限り 小さく丸まり ―――朝なんて来なければいいのに。夢が覚めなければいいのに。夜が永遠に明けなければいいのに――― そして俺は、静かに大好きなあの人の所へ 幸せの世界へ ゆっくりと 会いに行く 暗い空間を歩く。ひたすら目的もなく黙々と歩く。 すると、遠くに幽かに光が見えた。 そこにきっといる。あの人が…。 俺は、走りだしその光を目指した。 その光のそばに、あの人はいた。 まるで、俺を待っていたように。微笑んでそこに佇んでいた。 でも俺は、真っ先に 「ひどいです。俺を置いて行くなんて」 すねてそういう するとあの人は、困り果てた顔して 「ごめんね。イルカ先生。本当にごめんなさい」 そして、俺をそっと抱きしめた。 「これからは、ずっと一緒だよ。もう二度と放さない」 「絶対ですよ。カカシさん、二度と俺を置いて行かないで下さいよ」 そして、俺もカカシさんに抱きついた。 もう二度と離れない もう、独りはいやだ。 そして、世界は輝きを取り戻しまた動きだす。 side カカシ side サクラ NOVELへ |