side:カカシ もうすぐ1年に1度、俺の嫌いな日がやって来る。 それは、人間どもがハロウィンと呼ぶ日だった。 この日は人も化物も関係なく皆が楽しむ日だった。 皆というよりは、それぞれの種族の子供達の為のお祭りだ。 人の子が化物の姿に扮して家々を練り歩く。 その中に紛れて本物の化物の子供達を参加しているのだった。 この祭りは交流の一切ない化物社会の唯一の交流の場だった。 この日ばかりは、犬猿の仲の者達も喧嘩、争い、その他の厄介事はご法度だった。 他種族のモノに会いたくないモノは(特に大人の化物)、その祭りには参加しないのが習わしだった。 しかし、子供達は一族以外の種族の事や外の世界の事を知るためにほぼ全員参加が義務づけられているに等しい。 ハロウィンの祭りが嫌いな俺も実の所毎年毎年誘いに来る悪友共がいなければ、不参加を決め込みたいのだった。 (どうして、あんなのが楽しいのかさっぱり分からない・・・ 出来るのなら『イチャパラ』シリーズを読んでいた方がはるかに有意義な時間が過ごせるのに・・・) ハロウィン・・・それは、人間の街で行われている一風変わったお祭り。 人の子供達がこぞって魔物(化物)の姿に変装して家々を回りお菓子を貰い歩く。 遠い昔、この人間の祭りに目をつけた一握りの化物達が自分達の一族の子供達に世間を知ってもらう為にその祭りに紛れこませる事にした。 それが俺達化物のハロウィンの始まりとされている。 余りに昔すぎてその起源を覚えているモノなど誰もいないのだけれど・・・。 祭りに参加した子供達は、同じ化物同士で街中を歩きまわるモノもいれば、人の子と一夜限りの友達になり一緒に菓子を貰うモノもいれば、独りで周りの様子を見て楽しんでいるモノなど、それぞれ事に祭りを楽しんでいた。 (いい加減にあいつら俺を連れ回すの本当に止めて欲しいよ・・・) 毎年、毎年。行きたくもない祭りに参加させられてげんなりしていた俺は今年こそは参加しなくていいように悪友の誘いを交わす為に祭りの日までにどうするかを1日、1日と日にちを数えながら考えを巡らせていた。 そんな日々を過ごしていた俺だったけど、ふと空を見上げると満天の星空が見えていた。 そんな俺の目に映ったモノは・・・ すっと流れゆく、流れ星だった。 そういえば人間の世界では確か空に流星群が見えると、そんな事を言っていたようだったけど・・・ どうやらそれが今だったようだった。 俺は、いくつも流れゆく綺麗な夜空を見上げていると、それに目を奪われて俺は考える事をすっかり忘れてしまっていた。 『流れ星に願いをかけると、願いが叶うんだよ』 ふと、流れ星を見ていたら思い出した。 何時だったか? 誰だろう? 聞いた? 小耳に挟んだ? そんな曖昧な言葉を思い出した。 俺は、流れ星を見上げながら自嘲気味に叶わぬ願いを願った。 『 』 こんな俺の願い・・・ 誰にも知られたくない。 この歳になってまだあんな事を願っていたのかと思われたくないから 何て子供臭い願いだろう・・・ 心の奥底に沈めた思いに呼応するように、一筋の雫が頬を濡らした。 流星にひっかけてハロウィン前のお話を書いてみたのですが・・・ どうなのでしょうか? 大丈夫かな? 読んで下さいました方が喜んでいただければ幸いです。 お読みいただきありがとうございました。 拍手粗品へ |