side:カカシ 目が覚めると目の前には、チョウザさんとチョウジが驚いた顔をして起き上がった俺を見やっていた。 俺は先程まできっと狭間と呼ばれる場所で父さんと話していた。 今度こそ俺は父さんに連れられて先生を始めオビトや、リンの所に行けると信じていたのに結局俺は生命の輪の中に呼び戻されてしまった。 どうしてこんなことがおきたのかと不思議に思っていたら側にいたカツユ様が事の次第を説明し始めた。 それを俺はどこか遠い事のように聞いていた。 本当はちょっとは期待していた。 現世に戻ってきたら目覚めた時にはイルカ先生が俺の側にいてくれるのだと…… 表にはださずに俺はこっそりと落胆した。 そんな奇跡のような事、こんな時に起こるはずも無いのだから。 それでも俺は目覚めたら1番に彼の顔が見たかったのだ…チョウザさんたち親子ではなく、イルカ先生の顔を……。 イルカ先生の顔を見彼から『お帰りなさい』などの言葉を貰えたならきっと俺は本当に生きて帰ってこれたんだと実感できただろう。 上忍の任務を終えて受付に書類を提出するさいに、イルカ先生に笑顔で「お疲れさまでした、カカシさん」と言ってもらえると無事に里へ帰って来たんだと実感が出来た。 生きている実感 里に帰って来れた実感 イルカ先生がいる実感 それが現実だという実感 実感出来なければそれは全て現実味を帯びない、儚い幻の中をたゆたゆようなモノクロの世界にいるようだった。 苦しくて 苦しくて 何が苦しいのか分からなくて…… 眩しく輝く光の中を いとしい 気配が 真っ直ぐに こちらに向かって来て あと少し もう少し 視界に捉えた 光の中でも 黒く艶やかに輝く ……イルカ先生…… 拍手粗品へ |