side:イルカ 俺は 走る ひたすらに 走る ただ 走る がむしゃらに 走る 目的地になかなか辿り着けない。 辿り着けない事に焦れったさが募った。 心ばかりが急いてしまって 自分の走る速度が鈍重に思える程に 嘘だ!! 嘘だ!! 嘘だ!! 心で唱える 言葉はそればかり まるで他の言葉を知らないかのように △▼▲▽△▼▲▽△▼▲▽ 運が良かったのか? それとも悪かったのか? たまたま、カツユ様が綱手様に報告をしている場面に行き逢った。 カツユ様の話だと、ナルトのおかげで次々に死んでしまった同朋が生き返っていると 誰々が生き返りました ぼんやりとその報告を聞いていた。 しばらくすると、カツユ様の口から はたけ カカシ上忍 生き返りました その言葉を聞いた俺は思わず体を強ばらせてしまった。 その瞬間をうっかり綱手様に見られていたのだろうか急に綱手様の口からため息が飛び出した。 「イルカ。…ここはもういいから後はお前の好きにしな」 ぶっきらぼうに、投げやりな言葉をよこして綱手様はシッシッとぎこちない手つきで俺を追い払う仕草をした。 俺は火影様のその心遣いに深々と頭を下げてからその踵を返して先程カカシさんと別れた所に向かった。 1分1秒でも早く 無事な姿を確認する為に 俺は急いだ 俺はあの人がとても強いから何か勘違いをしていたのだ。 カカシさんなら大丈夫と 死ぬはずがないと あんなに強いのだから 俺の父ちゃんや母ちゃんのようにいなくなったりしないと そんな風にあの人のことを思っていた自分に反吐が出そうだった。 カカシさんだって、生きた人間なのだから 絶対なんて有りはしないのだ。 人間誰しも生きていれば必ず何時かは死ぬのだ。 だから、もしナルトが上手く立ち回っていなければ、カカシさんも死んでいたのだという事実を突きつけられた俺は心の底から恐怖し、悔やみ、後悔した。 体に震えが来る 今の俺はカカシさんの無事な姿をこの眼で見なければ、日常には戻れないのだと…… だから俺は目的地に向かってひた走る。 後少し 俺の眼差しの先 光を弾く 銀色 ……カカシさん…… 拍手粗品へ |